2020年の中小企業向け補助金

2020年2月10日初稿 2月27日修正

〔修正の要旨〕

 ・新たに公表された資料を精査した結果、元の記載と明らかに違う点が確認された箇所

 ・同、解釈に新たな可能性が出てきた箇所

 ・新型コロナウィルス感染による事業被害救済を目的とした発表があった箇所

以上について、追記をいたしました。


 2020年1月30日に成立した令和元年度補正予算で例年並みの施策が出てきました。概ね2019年度同様ですが、予算額が増額されておりますので、昨年(今年度)に比べて少し門が開かれそうです。では、中小企業関連の主な補助金を個別にご説明します。

 「中⼩企業⽣産性⾰命推進事業」という枠で、①ものづくり・商業・サービス⽣産性向上促進事業(通称:ものづくり補助金)、②⼩規模事業者持続的発展⽀援事業(通称:小規模事業者持続化補助金)、③サービス等⽣産性向上IT導⼊⽀援事業(通称:IT導入補助金)が一括りの事業枠にまとめられています。

 個別の施策の予算枠は不明ですが、3施策合わせての予算額は3,600億円(前年度1,600億円)と増額になりました。オリンピックや災害復興の影響で減らされるのかと思いきや、ビックリです!

追記:この予算には裏がある可能性が出てきました。従来の施策では、役所特有の年度予算の概念から年度内に公募から事業完了、補助金交付まで終了する問題点がありました。それにより、公募時期は限られ、事業期間も短く、且つ公募告知から締め切りまでが短時間であるという問題がありましたが、今回の施策ではこれらが改善され、3年間継続の施策として実施されていくようです。

 ということは、この予算は3年分の予算という可能性が高いようです。その根拠は、各補助金の採択予定企業数が明記されており、それが過年度の3倍程度の目標値となっているからです。3年分の目標を記載して予算が1年分ということは不合理でしょう。そうなると、増額どころか単純計算では減額となります。残念ながら、金額の詳細は今のところ不明で、推測でしかありません。


 公募開始は、3月後半から4月初めではないかと思います。従って、現時点では公募要領は公開になっていませんので以前詳細は不明です。

 追記:応募要件が厳しくなりました。新規要件として「給与支給総額を+1.5 %以上/年にすることを従業員に表明すること」「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30 円以上とすること」という項目が加わりました。最低賃金はまだしも年1.5%の給与支給総額増加は、厳しい条件です。しかも、達成できなかった場合は補助金の一部を返還させると記載されています。順調に増員できる強い根拠のある計画でなければ採択は難しくなったと考えていいでしょう。

 さらに、申請が電子化されます。今年度からjGrantsという補助金の申請・届出ができる電子申請システムが使われることになりました。従来は、IT導入補助金だけは電子化されていましたが、令和2年度からはjGrantsに統一されていくことになりました。

 電子申請にあたっては、事前に「gBizIDプライム」という証明書を取得してIDを持たなければなりませんが、印鑑証明書などを郵送し2~3週間で発行されということです。従来の電子証明のように高い申請料もかからず、カードリーダーも必要なくなりますので、かなりハードルは下がったと思います。

 では、各補助金を個別に見ていきましょう。


◆ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(ものづくり補助金)

 上限1,000万円、補助率1/2(小規模事業者は2/3)

 *但し、先端設備等導入計画の認定又は経営革新計画の承認を取得して一定の要件を満たす場合は、補助率2/3(前年度の公募要領による条件です。本年度はまだ未公表です。)

 *先端設備等導入計画の認定又は経営革新計画の承認には時間がかかりますので、公募開始後では間に合わなくなる可能性があります。先にこれらの計画の認定・承認申請をかけておく必要があります。

 詳細は、コチラ


◆小規模事業者持続的発展支援事業(小規模事業者持続化補助金)

 上限50万円、補助率2/3

 この補助金は、小規模事業者の販路開拓と生産性向上を目的としたものです。常時雇用の従業員数に制限があり、かなり小規模な事業者にしか応募資格はありませんが、それだけに採択を受けやすいのが特徴です。

  詳細は、コチラ


◆サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)

 上限450万円、補助率1/2

 中小企業・小規模事業者等の生産性向上を実現するため、バックオフィス業務の効率化や新たな顧客獲得等の付加価値向上(売上向上)に資するITツールの導入支援が目的。

 今年度(昨春)の補助上限が一気に450万円に引き上げられましたが、来年度(今春)も継続されました。今年度は、A類型(補助額40~150万円未満)とB類型(補助額150~450万円)という2つの類型で公募がありましたが、来年度もほぼ同様と思います。A類型の下限が30万円に引き下がる模様)

 この補助金は、新たに開発するシステムは対象にならず、既存のパッケージシステムorクラウドシステム広く販売されているシステムしか補助対象になりません。対象となるシステムは、事前に開発したコンピュータ会社からの登録が必要で、審査もそれなりに時間がかかります。ですから、この補助金を使って導入したいシステムがある場合には、事前にシステムベンダーと相談をし、確実に登録・承認を受けてもらわないといけません。

 さらに、補助額が大きい方のB類型は、求められる機能要件も多く、より綿密な事前準備が必要です。そして、このB類型は採択枠が少なく、県内で採択された企業は、今年度の場合は一次公募で4社、二次公募で3社と非常に狭き門でした。来年度も競争率は高くなることが予想されます。

 詳細はまだ発表されていませんので公募要領を見てからですが、今年度より要件が緩和されるとは考えにくく、その意味で「おもてなし認証」と「SECURITY ACTION」の宣言は必須だと考えてよいと思います。公募要領の発表を待たずとも準備を始めてよいと思います。すぐに動きましょう!

 詳細は、コチラ



 補助金制度は、毎年少しずつ形を変えルールが変わるものですが、今年の制度はどこが違うのか見ておくことも重要です。私は、大きな違いを発見しました!!次のような2文を見逃しませんでした。

・通年で公募し、複数の締め切りを設けて審査・採択を⾏うことで、予⾒可能性を⾼め、⼗分な準備の上、都合のよいタイミングで申請・事業実施することが可能になります。

 例年は、春に募集を開始しGW明けに締め切り、二次公募があっても夏にはすべて締め切られていました。そのため、秋以降にご相談をいただいても「来春を目指しましょう!」とお答えするしかありませんでした。が、今年は通年になるようです。とは言っても、予算の半分以上が一次公募で使われてしまうはずで、やはり一次公募を目指すのがセオリーとなります。(追記:公募が何回かに区切られるのかどうかも不明なので、この表現は削除します。)

・過去3年以内に同じ補助⾦を受給している事業者には、審査にて減点措置を講じることで、初めて補助⾦申請される⽅でも採択されやすくなります。

 「採択されるのは同じ会社ばかりじゃないか!?」という声をよく耳にします。私もそう思います。しかし、これには明確な理由があって、贔屓されているわけではありませんが、採択されない会社としてはそうも言いたくなるでしょう。それが、今回は減点すると明言していますので、チャンスです!とは言え、どのくらい減点されるのかは不明ですので、どこまでチャンスかは分かりません。もとより、いつも採択される会社は採択されるツボを心得ているからで、多少の減点程度では簡単にはひっくり返せないかもしれません。


 もう一つ、大事な点を書きます。

 近年は、補助金の支給に対して役所(上記の3補助金なら経済産業省・中小企業庁)側の成果目標が明示されています。つまり、バラマキ補助ではなく、確実な成果が求められます。そのため、「結果はわかりませんが挑戦させてください!」的な申請は採択されにくく、「当社に補助していただければ、必ずや成果を出してご覧にいれます!」という申請でなければ採択されにくくなっています。



 何やら難しそうなことを書いてしまいましたが、事業継続・発展に確実に寄与する投資であれば恐れることはありません。堂々と申請してみればよいかと思います。採択を受けるために私が精一杯誤審します。まずは、ご相談ください。 お問い合わせフォームでのお問い合わせについては相談料無料です。


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GF経営研究所

主に富山県内で活動する中小企業専門の経営とITのコンサルティング事務所です。

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