小規模事業者持続化補助金

3月1日投稿 3月5日加筆 3月11日公募要領公開による修正


 最初に本記載のお約束ですが、令和元年度も残り1ヵ月となり、もう気持ちは既に令和2年度に向かっていますので、“今年度”“今年”という表現は令和2年度の施策(令和元年度補正予算、令和2年度当初予算)をそう呼ぶことにします。


小規模事業者持続化補助金チラシ


 通称:小規模事業者持続化補助金と呼ばれている補助金ですが、この補助金は数年以上続いている補助金ですのでご存じの方は多いと思います。今年度は2つの類型で公募が実施されます。概要は、簡潔にチラシにも書かれていますので、あわせてご覧ください。

 1.一般形

 2.ビジネスコミュニティ型

 この補助金の上位の括りである小規模事業者持続的発展支援事業(同一予算枠)の中にはもう1つ共同・協業販路開拓支援補助金事業という事業もありますが、これについては商工会議所や商工会、富山県中小企業団体中央会、商店街振興組合などが対象であり、一般企業向けではありませんので、ここでは説明を省略します。申請する、或いは採択になった団体から募集案内があると思いますので、それをお待ちください。


◆小規模事業者持続的発展支援事業(小規模事業者持続化補助金事業)

〔業務の目的〕

小規模事業者および一定要件を満たす特定非営利活動法人(以下「小規模事業者等」という。)が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、小規模事業者等が取り組む販路開拓等の取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業者等の生産性向上と持続的発展を図ることを目的とします。

〔事業の実施期限〕

原則、10万者程度の小規模事業者等に対して補助金の交付が終了するまでとします。なお、中小機構第4期中期目標期間終了(令和5年度末)までを最長とします。


 10万者とあるのは、10万社の誤字ではなく応募対象が組合等も含まれるためです。おおよその目安としては3年度で10万者ですから1年度あたりでは3.3万者、ほぼ前年同様(申請数 33,282件、採択数 29,945件)ではないでしょうか。尚、採択者数ではなく、総交付金額で判断するとのことで、採択者数は増減します。

尚、10万者の中には共同・協業販路開拓支援補助金事業の採択者も含まれますが、こちらは500者程度の想定ですので、体制に影響はないと思います。


1.一般型

 小規模事業者等が取り組む販路開拓の取組等を支援。

〔補助額・補助率〕

 補助額: ~上限50万円(共同申請の場合50万円×事業者数の合計額。ただし500万円

      を上限とする)

      但し、特定要件を満たす場合は上限100万円

      特定要件:市区町村 による創業支援等事業 の支援を受けた事業者

     

 補助率: 2/3 

〔公募開始〕

 公募開始: 2020年 3月10日(火)<公募要領公表>

 受付開始: 2020年 3月13日(金) 10:00~(予定)

 受付締切:

 第1回: 2020 年3月 31 日(火) 第2回: 2020 年6月 5 日(金)

 第3回: 2020 年 10 月2日(金) 第4回: 2021 年2月5日(金)

 第5回: 2021 年6月初旬頃  第6回: 2021 年 10 月初旬頃

 第7回: 2022 年2月初旬頃  第8回: 2022 年6月初旬頃

 第9回:2022 年 10 月初旬頃  第 10 回: 2023 年2月初旬頃【最終】

〔補助対象となる取組〕

【補助対象となり得る販路開拓等 (生産性向上 の 取組事例)】

・本補助金事業は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者の地道な販

路開拓や売上拡大の取組を支援するものです。

・開拓する販路として対象とすることができる市場の範囲は、日本国内に限らず海外市

場も含むことができるものとします。また、消費者向け、企業向け取引のいずれも対

象となります。

・開業したばかりの事業者が行う、集客・店舗認知度向上のためのオープンイベント等

の取組も対象となります。

・本事業の完了後、概ね1年以内に売上げ につながる ことが見込まれる事業活動(=早

期に市場取引の達成が見込まれる事業活動)とします。

・本事業は、地道な販路開拓等 (生産性向上)の取組 をする場合に 対象となりますが、販

路開拓とあわせて行う業務効率化(生産性向上)の取組を行う場合には、業務効率化(生産性向上)の取組についても、補助対象事業となります。 業務効率化には、「サービス提供等 プロセスの改善」 および 「IT利活用」 があります 。

〔補助対象となる取組事例〕

・新商品を陳列するための棚の購入

・新たな 販促用チラシの作成 、 送付

・新たな 販促用PR(マスコミ媒体での広告、ウェブサイトでの広告)

・新たな 販促品の調達、配布

・ネット販売システムの構築

・国内外の 展示会、 見本市への出展 、商談会への参加

・新商品の開発

・新商品の開発にあたって必要な図書の購入

・新たな 販促用チラシのポスティング

・国内外国内外での商品PRイベントの実施での商品PRイベントの実施

・ブランディングの専門家から新商品開発に向けた指導、助言

・新商品開発にともなともなうう成分成分分析の依頼分析の依頼

・店舗改装(小売店の小売店の陳列レイアウト改良陳列レイアウト改良、飲食店の店舗改修を含む。)

【「 サービス提供 等 プロセスの改善 」 の取組事例イメージ】

・業務改善の専門家からの指導、助言による長時間労働の削減

・従業員の作業導線の確保や整理スペースの導入のための店舗改装

【「 IT利活用 」 の取組事例イメージ】

・新たに 倉庫管理システム の ソフトウェア を 購入 し、 配送業務 を 効率化 する

・新たに 労務管理システム の ソフトウェア を購入し、人事・ 給与管理 業務 を 効率化 する

・新たに POS レジソフトウェア を購入し、 売上管理 業務 を 効率化 する

・新たに経理

・会計 ソフト ウェア を購入し、決算業務を効率化する


〔申請要件〕

以下の要件のいずれも満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に表明している中小企業・小規模事業者等。(ただし、申請締め切り日前10ヶ月以内に同一事業(令和元年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業)の採択決定及び交付決定を受けた事業者を除く。)

一 小規模事業者であること

 商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)では常用従業員数が5名以下、宿泊業、娯楽業、製造業では常用従業員数が20名以下の事業者が対象となります。個人事業主や小規模事業者の組合も対象です。

二 本事業への応募の前提として、経営計画を策定していること

三 申請締め切り日前10ヶ月以内に同一事業(令和元年度補正小規模事業者持続的発展支援事業)の採択決定及び交付決定を受けた事業者ではないこと

四 商工会議所、或いは商工会の支援を受けながら取り組む事業であること。

〔審査要件〕

 一 自社の経営状況分析の妥当性

  ◇自社の製品・サービスや自社の強みを適切に把握しているか。

 二 経営方針・目標と今後のプランの適切性

  ◇経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。

  ◇経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。

 三 補助事業計画の有効性

  ◇補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。

  ◇地道な販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。(共同申請の場合:補助事業計画が、全ての共同事業者における、それぞれの経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要か。)

  ◇補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。

  ◇補助事業計画には、ITを有効に活用する取り組みが見られるか。

 四 積算の透明・適切性

  ◇事業費の計上・積算が正確・明確で、事業実施に必要なものとなっているか。

〔加点要件〕

一 新型コロナウイルス感染症加点

 新型コロナウイルス感染症への役員・従業員の罹患による、同感染症による直接的な影響を受けている、または、新型コロナウイルス感染症に起因して、前年同月比10%以上の売上減少が生じている事業者に対し、以下を条件として、採択審査時に、政策的観点から加事業者に対し、以下を条件として、採択審査時に、政策的観点から加点を行う

(1)直接的な影響(役員・従業員の罹災)

(2)間接的な影響(売上減少)

二 賃上げ加点

 厳しい経営環境下で、従業員の賃上げ等に積極的取り組んでいる事業者に対し、以下を条件として、採択審査時に、政策的観点から加点を行う。この「賃上げ加点」には、「 給与支給総額増加 」と「 事業場内最低賃金引き上げ 」の2種類がありますので、いずれか一方を選択してください。

(1)給与支給総額増加

(2)事業場内最低賃金引き上げ

 「補助事業完了後の1年後、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を『地域別最低賃金+30円』以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している

三 事業承継加点

 各受付締切回の基準日時点の 代表者の年齢が満60歳以上の事業者で、かつ、後継者候補が補助事業を中心になって行う場合 、以下を条件として、採択審査時に、政策的観点から加点を行う

四 経営力向上計画加点

 各受付締切回の基準日までに、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」の認定を受けている事業者に対し、以下を条件として、採択審査時に、政策的観点から加点を行う

五 地域未来牽引企業等加点

 地域の特性・強みを生かして高い付加価値を創出し、地域経済への影響力が大きく、その担い手となりうる事業に取り組むことが期待される企業として経済産業省が選定した事業者等に対し、以下を条件として、採択審査時に、政策的観点から加点を行う

(1)地域未来牽引企業に選定されて おり 、地域未来牽引企業としての目標を設定して いる

(2)地域未来投資促進法に基づく地域 経済 牽引事業計画の承認を受けている

六 過疎地域加点

 過疎地域という極めて厳しい経営環境の中で販路開拓 等 に取り組む事業者 を重点支援する観点から、「過疎地域自立促進特別措置法」に定める過疎地域に所在し、地域経済の発展につながる取り組みを行う事業者に、政策的観点から加点を行う

*各基準日は、公募要領でご確認ください

〔減点要件〕

 減点要件は明記されませんでした。過年度の同補助金で採択を受けた事業者の皆様も応募できます。但し、過年度の結果と過年度の施策との違いを明確に説明できないと採択対象から外される可能性も否定しきれません。ご注意ください。


2.ビジネスコミュニティ型

〔補助額・補助率〕

 補助額:定額 50万円

〔公募開始〕

4月公募開始?

〔申請要件〕

以下の要件をすべて満たす組織をいう。

一 次のすべての条件を満たす法人の内部組織

・地域の相当数の小規模事業者が構成員となっている又は議決権を有する法人であること(※1)

・小規模事業者の経営の改善発達に資する事業を行っている旨について、経済産業大臣又は都道府県知事が法に基づく認定をしていること(※2)

※1 商工会法に基づく商工会、商工会議所法に基づく商工会議所又はこれらと同様の組織規程(地域内の過半の事業者が構成員となっている又は非構成員にも議決権を与えている等)を有する社団形態の法人

※2 小規模事業者支援法に基づく事業計画認定、中小企業支援法に基づく指定法人等

二 次のいずれかの取組みを行う小規模事業者5者以上が参画している定款上に定めた内部組織

・40歳代以下の若年層による創業・企業経営の円滑化、事業承継の推進に関する取組

・企業における女性の活躍等の共生社会の実現に向けた取組


◎梶野の解説

 この補助金は小規模事業者しか対象にならないのですが、それだけに対象事業者にとっては、チャンスです。また、採択率も比較的に高い補助金です。この規模の事業者では、他の補助金では申請要件を満たすことが難しいので、何とか採択を受けたいところです。

 この補助金は小規模事業者を対象にしているので、ほかの補助金に比べて、諸手続きがかなり簡略化されています。とは言え、経済省として「販路開拓につながった事業の割合を80%とする」という数値目標を掲げていますので、経営計画と呼べるだけの事業計画がなければ、採択されません。

 以前に、不採択事業者の方々のご意見をお聞きした時に「我々レベル(小規模事業者)には難しすぎる!」というご意見をいただきましたが、経済産業省の意図は、「小規模事業者だからこそ、失敗投資はできないのだから、きちんとした計画が必要」ということかと思います。私も同感です。資金体力のない小規模事業者は、一か八かの投資をしてはいけません。

 昨年度までは、加点要件ゼロでも採択可能でしたが、今年度は最低2つは加点要件が欲しいですね。「二 賃上げ加点」と「四 経営力向上計画加点」この2つは押さえたいです。これでボーダーラインを越えられると思いますが、念のため、それに加えて他のどれか1つ取れるなら取っておきたいです。「一 新型コロナウイルス感染症加点」に合致しないか、ご確認ください。

 ビジネスコミュニティ型については、どういう公募になるのか私の理解力ではよく分かりません。但し、ほとんどの事業者様には関係ないと思いますので、公募発表があって、さらに詳細が分かった時点で必要なら追加掲載します。


 そして、もう一つ、今年度の大きな変化は、申請の電子化が行われることです。従来は、書類申請のみで電子申請はありませんでしたが、今年はも可能になる模様です。書類と電子のどちらでも可能な見込みですが、現在はまだ使えません。準備中とのことです。13日には使えるようになるものと思います。

 今年度からjGrantsという補助金の申請・届出ができる電子申請システムが使われることになりました。電子申請にあたっては、事前に「gBizIDプライム」という証明書を取得してIDを持たなければなりませんが、印鑑証明書などを郵送し2~3週間で発行されということです。従来の電子証明のように高い申請料もかからず、カードリーダーも必要なくなりますので、かなりハードルは下がったと思います。



最後に

 この補助金は経営の専門家が審査しますので、嘘やハッタリは通用しません。論理性と客観性を備えた申請書を提出しないと採択されません。そのためには、基となる経営計画が論理性と客観性を備えた実現可能な計画として存在しないといけません。実際に、過去に不採択だった事業者様方のリベンジのために不採択になった申請書を何十通か拝見しましたが、ほとんどがこの点が足りていませんでした。

 この補助金に応募申請をされたい方は、ぜひ、経営計画の見直しからご相談ください。

 お問い合わせフォームでのお問い合わせについては無料です。


 お問い合わせフォーム


さらに・・・

 今年から経済産業省内の主管部署が中小企業庁から独立行政法人中小企業基盤整備機構(略称:中小機構)に変わりました。それによって、「中小企業生産性革命事業」をひとまとめにしたWEBサイトができました。これもわかりやすく、ワンストップで施策が見つけられます。これも拍手です!中小機構さん、グッジョブ!!

 中小企業生産性革命事業のWEBサイト

 各補助金のサイトへのリンクされており、ここから小規模事業者持続化補助金のサイトへ飛べば公募要領も入手できます。

 この補助金は、商工会議所、或いは商工会に作成してもらわなければいけない書類が2枚あります。そのため、申請書を一通り作成したら、最寄りの商工会議所、或いは商工会に持ち込み、書類確認とヒアリングを受けて、書類発行してもらわなければいけません。書類発行には最低一週間はかかりますので、締切ギリギリでは間に合わなくなる可能性があります。また、商工会議所と商工会では、書式に違いもありますのでご注意ください。会員じゃなくても書類は発行してもらえるらしいですが、商工会議所、或いは商工会と継続してかかわりを持つことを前提に設計されている補助金ですので、マイナス採点になる可能性は否定できません。

 持ち込む商工会議所や商工会は、自分で勝手に決めることも選ぶこともできません。事業者の本店所在地の住所により決まります。基本的には自治体と一致しますが、富山市は複雑です。水橋地区、呉羽地区、和合地区は富山市北商工会、旧大沢野町、旧婦中町、旧大山町、旧八尾町、旧山田村に本店住所があれば富山市南商工会になります。それ以外の富山市は富山商工会議所です。北商工会も南商工会もいくつかの支所がありますので、近くの支所に持ち込めば対応してくれるはずです。


GF経営研究所

主に富山県内で活動する中小企業専門の経営とITのコンサルティング事務所です。

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