(富山県)コロナに克つぞ!2020.6 飲食・宿泊・小売業編2

 次は、ソーシャルディスタンス。

 これは頭の痛い問題です。店としては、できるだけ多くのお客様を詰め込み、満員の密な状態が経営上望ましいわけですが、ソーシャルディスタンスを守るためには、客席数の半分程度に入店者をコントロールしなければいけません。飲食店は、『売上=客単価×席数×回転率』が基本ですから、客席数を半分に減らすとということは、単純に売上半減を意味します。残るは、客単価を倍にするか、回転率を倍にするか・・・どちらも簡単ではありません。行政は、緊急事態宣言を解除しフル営業再開を認めたのであとは店の自己努力との考えのようですが、飲食店の苦しみは、まだまだ続きます。早く自立の道を見つけないと、いずれ倒れるしか道がなくなります。

 でも、解決策はあります。席数×回転率は客数と読み替えることもできます。お客様を増やせば良いということになります。回りくどい言い方をしました。つまり、テイクアウト/デリバリーで客数を稼ぐということになります。そこにはいろいろな手がありますが、手っ取り早いのはSNSですね。画像映える料理を掲載して、お客様を刺激します。食材へのこだわりや調理法、エピソードなども加えるといいですね。普段の店舗営業ではなかなかそこまでは伝えられませんので、お客様との絆を深めるチャンスです。

 テイクアウト/デリバリーの体制と売上規模を整えておくことは、いずれくる第2波での営業自粛の時にも生き残り策として有効ですし、絶対に整えなければなりません。新しい生活様式における飲食店の売上の公式は、こう変わります。

 売上=店内売上+テイクアウト/デリバリー売上

 店内売上=客単価×席数×回転率

     =客単価×客数

 テイクアウト/デリバリー売上=1組単価×件数

よって、

 売上=客単価×客数+テイクアウト/デリバリー1組単価×件数

となります。ですから、客単価、客数、テイクアウト/デリバリー1組単価、テイクアウト/デリバリー件数の4項目を引き上げる必要があります。特に、来店客数+テイクアウト/デリバリー客数(件数)の増加は必須です。


 テイクアウト/デリバリーでは、1組単価は抑えられてしまいます。理由の1つは、ドリンクがでないこと。もう一つは、箸休め品の注文がでにくいことです。漬物や冷やしトマトなどは家にあるのでそのくらいなら・・・と節約されてしまいます。目に見えるお客様は1人ですが、その裏には複数のお客様があり、客単価としては相当低くなっているはずです。これは、まだ引き上げる余地があることを意味します。

 そこで、1つはドリンク販売をすること。従来、飲食店では持ち帰りのアルコール類は販売することができませんでした。酒税法により登録免許を持った小売店しか売ることができなかったからです。しかし、緊急コロナ対策で『期限付酒類小売業免許』という6ヵ月限定免許が申請により交付されました。(申請は6月末で終了)これがあれば、アルコール類も販売できます。一般の酒屋さんでは売っていないような酒類を提供していた店では、テイクアウト/デリバリーの売上貢献してくれますね。中には、ささやかな飲食店支援と言うことで、わざわざ飲食店で酒類を買ってくださる方もいらっしゃいます。

 もう一つは、テイクアウト/デリバリーならではの高単価商品の販売です。テレワーク、リモートワーク、そして、外出自粛でオフィスワーカー→テレワーカーや主婦のみなさんのストレスが溜まっています。同時にGWの旅行費用も浮いているし、特定給付金という臨時収入もありましたし、自粛していたので使ってません。ストレスと共にお金も溜まってます(貯まっているのではなく)。

 給与生活者(俗に言うサラリーマン)の間では、「特定給付金、何に使う?」という会話があります。飲食店経営者や自営業者、フリーランスにとっては「何に使う?」もなにも生活費の一択ですが、給与生活者は選べるのです。旅行、家電、プチ贅沢など、うらやましい限りですね。飲食店経営者の皆様には理解できないかもしれませんが、会社勤めの方達は気持ち的にプチバブル状態です。(休業や失業で収入が減った方たちは除く)プチバブルなので、「我慢続きだったのでこのくらいのプチ贅沢は・・・」と多少の奮発は行います。使っても使ってもお金が入ってきたバブルの時代を思い出させます。但し、外食には慎重ですので、ここは高級食材を投入したテイクアウト/デリバリーで、しっかりと稼ぎたいところです。

 残念なことに、キャッシュレス還元制度に乗らなかったお店は、テイクアウト/デリバリーならでのは、前金決済や短時間決済のチャンスも逃されました。テイクアウト/デリバリーとキャッシュレス決済は、極めて相性がよいのです。更に、期限付酒類小売業免許も取得されなかった方、判断ミスとしか言うしかありません。


 テレワーク、リモートで世の中が変わったことで飲食店などに影響があることは、もう1つあります。が、今日も長くなってしまいました。それは、秘密にしておきます。ご自身で考えてみてください。テレワークやリモート会議をなさらない飲食店の方には想像できないかもしれませんが、テレワークやリモート会議をされている方に聞いてみてはどうでしょう?テレワークやリモート会議をされる方達ならではのことです。

 さらには、飲食業や宿泊業では、コラボレーションという言葉もキーワードになります。何をどうコラボレーションし、それをどう展開するか?それも考えてみるとよいでしょう。場合によっては、大きな効果をもたらします。


 以上のように、飲食業はピンチどころか大チャンス到来です。ただ、今までと同じ考えのままだとピンチですね。発想と努力次第で大チャンスにできる可能性を持っているということです。緊急事態宣言下、そして今、厳しい状況のみなさん、自分の何がいけなかったのか?何が足りのないのか?見直してみて、大チャンスを引き寄せてください。

 3月18日の投稿の『コロナ(COVID-19)被害から富山県の経営者を救いたい!』の中で「今は(緊急融資を受けるなどで)何とか耐えて、COVID-19が終息後に稼働率が上がる対策を打つべきです。」と書いています。あの時期に何をしたかで各店の差が大きく開きました。第2波到来も間もなくという様相になってきました。今度は、勝ち組に入りましょう!いや、せめて負けない組に。

GF経営研究所

主に富山県内で活動する中小企業専門の経営とITのコンサルティング事務所です。

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