(富山県)コロナに克つぞ!2020.6 一般企業編
続いては、一般企業と括ってみます。
一般企業って極めて抽象的で本来なら良い切り分け方ではありませんが、これ以上小さく括ってもきりがないのでこうしました。製造業でも建設業でも、とにかく企業組織を持っている会社すべてを一般企業としました。この一般企業において今行うべきことを考察していきたいと思います。概ね、従業員数5名~100名未満を想定しています。
一つ前の投稿で最後に、キーワードとして5つ挙げましたが、一般企業に該当するのは「テレワーク」と「リモート」でしょう。上場企業などを中心に県内でもテレワークが行われるようになり、リモート会議も一般化しました。これは、私の記憶ではWindows95が登場した時と同じくらいに劇的な変化です。ビジネス環境が大きく変わってしまったことを認め、それに対応して自分や自社を変えていかなければなりません。認める、対応するとは何か?それは、ビジネスにおける“新しい生活習慣”を受け入れることに他なりません。
本題に入る前に、重要なことを書きます。それは、コロナ差別という話です。昨今騒がしい人種差別ともつながるような話ですが、コロナに関連した差別です。
テレビなどのニュースでは、医療従事者が差別され、アパートを借りれないとか、子供が保育所で受け入れてもらえないということを見聞きされたことはないでしょうか?医療従事者ばかりではなく、コロナ感染者が出た会社も差別を受けているようです。従業員の一人が感染しただけで、まるでその会社が感染源かのような扱いで取引を拒まれるという話です。そうなると、仕入先からも販売先からも取引を拒まれるわけですから、生き残れませんよね?当然のことながら、従業員数が多ければ多いほど末端のコミュニティの数が増えますので、自社内から感染者を出してしまうリスクが高くなります。
コロナ差別を受けないためには、まず自社内から感染者を出さないこと、そのためには、出社しない、来訪を受けないというのが一番の対策になります。
では、本題です。
まずは、テレワークから考えてみたいと思います。
こう書くと「うちらの規模でテレワークなんて関係ないよ!」と言う言葉が聞こえてきそうですが、本当にそうでしょうか? 確かに従業員数50名くらいの会社までは、自社で考えるとテレワークというのはピンとこないかもしれません。しかし、お取引先にテレワークを導入している企業はありませんか?もし、お取引先でテレワークを導入した企業があれば、大変です!早く考え方を変えないと、あっという間に付いていけなくなり、最悪の場合は取引ができなくなる危険があります。
◆テレワークが進む理由1
それは、接点がなくなることです。テレワークということは、取引先の担当者様も出社していないわけですから、まず会えません。電話も社にいらっしゃらないわけですから、すぐにはつながりません。携帯電話まで知っている間柄であればよいのですが、そうでなければ、後の連絡手段はメールかリモート会議しかなくなります。
テレワークを導入するくらいの企業でしたら、セキュリティの観点から以前から来客者を事務所内に入れていないと思います。受付の電話機で呼び出して、応接コーナーでお会いするというスタイルだったかと思います。これからは、応接コーナーにすら出てきてもらえないかもしれません。でも、それだったら、社員が会社にいる必要もないわけです。テレワークで十分です。だから、企業規模が大きければ大きいほどテレワーク継続を考えるのは当然です。
◆テレワークが進む理由2
テレワークが常態化すれば、その企業にとってコスト削減になります。当然のことながら、事務所の水道光熱費は減り、社員の通勤手当も大幅削減できます。何らかのリモート手当が発生するとしても、差引すると削減の方が大きいでしょう。もっと言えば、社員が出社しないのですから、事務所も縮小できるわけです。1人に1つの机やイスは要らなくなり、3人に1つ、5人に1つで済むわけです。
◆テレワークが進む理由3
「なんだ、行かなくてもいいんジャン!」「ここにいなくてもいいジャン!」「通勤時間ってムダだったなぁ」ってことに気づいてしまったことです。社員にとってもテレワークのメリットが実感できましたので、今度はどうやって出社しなくてもよくするか考えるようになってしまいました。自動販売機があれば販売員が常駐していなくてもよいのと同様に、テレワークで解決する方法を考えるようになります。
このように、会社にとっても社員にとってもメリットがあるので、双方がどうすればテレワークで済むかを考えるようになっていきます。当然、直接顔を合わすことが少なくなれば人間関係も希薄になるので、受注側は交渉がしづらくなり、発注側は冷徹に判断を下し易くなります。
ですから、これからは、規模が小さい会社ほどビジネスが難しくなっていきます。解決策としては、自社には導入しないまでもテレワークとは何か?どんなことができるのか?問題点は何か?くらいは情報を集め、取引先との接点を無くさないようにしていくことが必要でしょう。例えば、オンライン飲み会を主催し、取引先の方を誘うなどなどが考えられます。それにしても、ただ誘ってもご参加いただけないでしょうから、相手の趣味や興味に合致したテーマで開かないといけないので、情報収集や人脈作りも必要です。
次に、リモートを考えます。
これまでも離島などで遠隔医療の必要性が叫ばれていましたが、なかなか進みませんでした。素人の私などは、離島で看護師さんが撮ったレントゲンや心電図などを伝送し、AIに画像分析させた状態で医師がリモート診察すればいいのにと思っていましたが、あまりにも進展しませんでした。それが、コロナでは普通の医院でもリモート診察できるように、厚労省がようやく重い腰を上げました。これは、大事件です!最難関だった医療の世界でさえリモートが可能になったのですから、それより障壁の低い他分野は今後一気にリモート化が進むと推測できます。 都合よく、これから5Gが広がってきますので、リモート化は進むことはあっても戻ることはないと断言できます!
このコロナ期間で、多くのビジネスマンがリモート会議を経験し、ZoomやMaicrosoft Teamsなども普及しました。3年前では信じられないくらいの画質・音質で、特殊な機材も要らないようにソフトウェアが進化していたのもタイミングが良かったですね。時間効率を考えると、進化としか言いようがありません。私もこれまでは、午前と午後2社のコンサルが入っていると移動時間の都合で昼食が取れず、車を運転しながら信号待ちでおにぎりやサンドイッチなどを食べていましたが、リモートコンサルなら1日2社は楽です。
ただし、デメリットもあります。それは、出席者全員が下準備をしないと会議の効率が落ちてしまいます。共有画面では小さな字は読めませんので、予め会議前には資料を配布し、各自が目を通しておく必要があります。これからは、事前(余裕もって)に資料を配布しない人、配布資料を見ていない人は迷惑者として扱われるようになるでしょう。(本来、会議の効率を考えるとリアルの会議でも当然のことなのですが)
人間のリモートばかりではなく、機械のリモートが見直されるでしょう。みなさんの会社にも複合機(通称:コピー機)があると思いますが、あれって契約しているコピー機会社にリモート監視されていることはご存じですよね?ドラム回転数(コピー等出力数)はもとより、トナーの使用量(残量)、故障の予兆などが監視されています。それを見てタイミングよくメンテナンスに来られるわけです。こういうことがIoTですね。
人間がリモート慣れしたことで、機械等に対してもこれまで巡回していたことも「リモートでいいジャン!」という発想が理解されるようになり、IoT導入が増えるでしょう。IoTは、テレワークとも相性が極めていいですね。農業分野でも用水路の水門の開け閉めをIoTでというのは最近よく聞かれますが、『機械のリモート=IoT』がもう一度見直されてくるはずです。みなさんの会社でも、「行かなくてもいいのでは?」を合言葉にして見直してみるのはどうでしょう?もちろん、わざわざ行くことの価値を否定するつもりはありません。それはみなさんのご経験で「馬鹿言うな!言って来い。」とされるのでしょうから、経験で考えると難しい方の「行かなくてもいいのでは?」を考えてみることをご提案しているのです。
最後に、1つ警鐘を鳴らしておきたいことがあります。それは、情報セキュリティです。多くの会社は、十分な準備や検討期間がなくテレワークの実施やリモート会議の実施などを導入されたとので、セキュリティの面が置いてけぼりになっている会社が多いと思います。
情報セキュリティ対策で最も基礎的、且つ最も重要な人材教育をされていない企業様が多く見受けられます。テレワークやリモートを導入したことで、情報漏洩等のリスクも格段に高くなっており、一息ついた今こそ人材教育を行わなければいけません。人材と書いているのは、従業員さん達だけではなく、経営者の皆さんも含んでいます。情報セキュリティの責任は経営者にありますので、従業員さんだけ教育するのではなく自らが学び、リスクを考えないとコロナ以上に大被害を引き込むかもしれません。
例えば、密を避けるため、社内の研修などもビデオやリモートで行う会社が増えてきましたが、逆に言えば簡単に技術情報や管理ノウハウを持ち出せるということでもあります。実は、これは私にとっても大問題で、集合研修をビデオ研修に変えたいと言われる企業様が増えています。また、セミナーもオンラインでという需要も出てきています。これはチャンスである反面、講義の資料やノウハウが勝手に持ち出されるリスクを持っています。ビデオが勝手にコピーされてしまうと講師料・資料製作費が入ってこなくなりますから、著作権等の知財管理をどうするか、とても悩ましい問題です。お客様のご要望は理解できますし、お客様を信じたいけども、自社の事業を守るためには、ある程度厳しく規制をかけないといけないというトレードオフです。
話は、いろいろな方向に広がってしまいましたが、ご参考になれば幸いです。
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