ようやく確定申告できました。

 今年(前年分)の確定申告は、自分史上過去最大に難しい作業でした。理由は、もちろん、インボイス制度とそれに関わる税法の変更やe-Taxの変更によるものです。確定申告は私事ですが、インボイス制度関連となると企業経営にも関わってくる話なので、共有しようと思った次第です。


 実は私、起業して会社を作って18年間、自社の会計業務も自分でやっていました。当時は弥生会計(もちろんインストール版)を使って、1つ1つ伝票を起こして(入力して)いくのが当たり前の時代でしたから、何の疑問もなくやっていました。面倒くさいと思う反面、仕事をしたくない(気乗りしない)日やそういう時間帯には気分転換にもなり、苦痛な業務ではありませんでした。

 いずれは、経理の方を雇うなり、外注するなりするにしても、まずは自分が理解しないと不適切な処理があっても気づけないので、とにかく3年は自分でやろうと決意して始めましたが、現時点までの入力が終わると自社の経営状態が数値として客観的に見ることができて、すっきりした気持ちと経営状態が見えた安心感が心地良く、そのまま18年間やり続けてしまいました。

 正しく会計処理をすると、本当に面白いように自社の実態(売上や利益率の変化、経費の使い方等)が見えてきます。試算表を見た瞬間に「おかしい!」と気付くようになります。この効果は大きいです。決算書の読み方を勉強するより自分で経理をやったことで気づけるご褒美です。大概は会計処理の勘定科目の入力ミス(例えば貸方と借方が逆とか)だったりしますが、雑費や接待交際費の使い過ぎなどは戒めを与えてくれます。

 もちろん、最初は仕訳もままならず、毎週税理士さんに電話をして仕訳の仕方を教えていただくなどご迷惑をおかけしていましたが、初年度の決算を終えて一通りの業務を経験したころには会計業務とは何かも理解でき迷うこともほとんどなくなり半年に1回聞くか聞かないかまでになっていました。顧問税理士さんや会計事務所の方から「梶野さんの会社の決算は楽ですよ。ほとんど何もすることないから。」と励ましていただいたこともあり気を良くしていました。

 また、税務署の調査が入った時も「正しく税務をご理解いただいているようで何よりです。このまま正しい会計を続けてください。」とお褒めをいただいたのも自信と励みになっているのも事実です。


 そんなこんなで自営業となった今でも会計業務は自分でやっていますが、企業当初から原則に忠実に処理をしてきたおかげで、毎年税法が変わってもその部分だけ脳内アップデートすればよいだけでしたが今回は違いました。

 まず、昨年初めの段階で、9月までどういう処理をし10月からどのように変えるのかをかなりの時間をかけて調べましたが、詳細な処理の部分や仕訳に関する具体的な例は探し切れませんでした。もちろん、国税庁のHPや会計士さんや税理士さんが発信されている情報も見ましたが、ほとんど概要しか説明されおらず、実際に「うちの場合はどうすればよいのか?」「会計ソフトを変えるなどして期首処理から変えなければならないのかそこまでしなくても良いのか?」などの答えが得られず、恐る恐る処理を始めました。

 不明だった点がいろいろ明確になり、年が変わって今年1月中旬からまずは、会計処理の修正をはじめました。中には勘定科目間で振替をすればよいこともありましたが、今年の入力時に去年はどのように入力していたかを見返した時に意味がすぐにわかるように一旦反対計上を行い、改めて正しい仕訳を入力するという原則に忠実な方法をとりました。

 中には、従来と違う会計処理をしなければならない仕訳もあり、それについて1から勉強をして修正をしましたが、長年やり続けてきた当たり前の仕訳を変えるというのはなかなか慣れません。

 また、仕訳の摘要欄に適格請求書番号を入れておいた方がよいという情報を得て、「なるほど」と得心して、そのように処理していったのですが、保存してあった請求書に番号が記載されてなかったり、企業様からいただいた支払調書が間違っていたりと企業様も戸惑いが良く伝わってきます。その度に企業様に再発行をお願いしたり、ダウンロードし直したりとどんどん時間を奪われました。さらには、いくつかの処理方法があることについては、企業ごとに方法が違っているのでそれに合わせて対処しなければいけないのもかなりの手間でした。まさに、日本中を大混乱に巻き込んだインボイス制度でした。


 そして、年明けにもにまたインボイスのルール変更がでているとのことで、すぐにでも勉強しないと今年(来年の申告)も戸惑いそうで困ったものです。さらにはこれからは電帳法の問題も出てくるでしょう。

 最近、私は飲食店でもらう領収証がすごく気になっています。打ち合わせや接待時の飲食費やはり適格請求書番号の記されていない店は使い辛く、個人店に行きにくくなりました。訪問前にネットで企業経営かどうか確認したり一人で個人利用の時に適格請求書番号が書かれているかどうか確認してから商用利用するようになりました。まだ、適格請求書番号を申請取得されていない飲食店等の個人店経営の方は、そういうことも気にされた方がよいかと思います。2割消費税対象経費にならなにのは”塵も積もれば山となる”で徐々に影響が大きくなってくると思います。


最後に、インボイス制度の導入と電帳法の対応で翻弄され、ストレスに晒されている自社の経理担当の方を労って差し上げてください。みなさん、本当にご苦労されていると思います。

GF経営研究所

主に富山県内で活動する中小企業専門の経営とITのコンサルティング事務所です。

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