富山県なりわい再建支援補助金(続報)
一昨日、県により開催された「富山県なりわい再建補助金」の説明会に参加しました。
まだ、昨日の時点でも「現在、取りまとめ中」とのことで公募要領は公開されていません。また、公募開始日も公表はされませんでした。しかしながら、説明会に参加したことで、分かったこともありますので、続報としてそれらをご案内します。
最初に、申請を検討されているみなさんはあまり重要ではないとお考えかもしれませんが、専門家的には最重要なことから説明します。
今回、説明も質疑への回答もすべて中小企業庁の担当官がされたことです。これは、何を意味するかというと、国と県の役割が明確に示されたと解釈できるかと思います。「令和6年能登半島地震関連の企業向け(自営含む)補助金1」でもご説明したように、お金の出元は国だということは解っていたことですが、どちらの意向がより強く反映されるのか?ということは不明でしたが、この説明会であくまでも国主体の補助金であり、予算枠が県別になっている都合や地域事情に詳しいという理由で公募窓口を県にしただけだということが読み取れました。
「国でも県でも構わないが、金を払ってくれることが重要だ!」とお考えかもしれませんが、国と県では縛られる法律も違いますし、基本的な立場も違うので、刺さる申請書の書き方も変わってくるということです。これ以上は、微妙な問題もありますのでご勘弁ください。
新たに説明された補助対象の考え方
他にも説明会で示された考え方で興味深い事項を記載します。
1.新事業展開に関する費用も可能
大原則は復旧ですが、従来なりわいとして事業の復旧が難しい場合(サプライチェーンの破壊や需要の消失等)、復旧に替えて新規事業展開に関する費用も補助対象になり得ることが示されました。ちょっと表現は難しいですが、同一事業の復旧は難しいが従業員の雇用維持のために別事業を行う場合の設備投資も費用対象になる可能性があるということです。当然、従来の事業復旧が可能なのに新規事業に進出するのは対象になりません。
2.従業員寮の建設
1.の場合のように新たな従業員の域外から雇用するために従業員寮を建設する場合の対象になるということです。
3.罹災証明が絶対ではない
建物については、基本的に事業用に使用している部分の復旧、つまり修繕が原則であるが、全壊や大規模半壊等の修繕が不可能或いは修繕が合理的ではないの場合は建て替えも可能とのことが示されました。さらには・・・(ここからがすごい!)
しかし、そもそも罹災証明で使われる全壊とか半壊(程度により種類あり)、一部損壊などの区別は住宅向けの基準であり事業ビルや工場などには適合しにくいということで、”建築士”さんの判定書を以って建て替え基準とすることも示されました。罹災証明は仮に一部損壊であっても、建築士さんが「建て替えが妥当」と判断すれば、建築士さんの判断が優先されるとのことです。
これは、機動的且つ画期的ですね。驚きました。説明会に参加していなければ理解できなかったでしょうね。尚、建築士さんが発行する判定書は、公募開始までに書式が用意されるそうです。
但し、この”建築士”の定義は不明瞭で、そこは公募要領を待つか県の相談窓口に問い合わせをしないとわかりません。
一口に建築士と言っても一級建築士、二級建築士、また構造設計一級建築士という資格もありどこまでが適合するのか分かりません。また、住宅の全壊、半壊を判定される応急危険度判定士という資格もあり複雑です。
私も少し調べてみましたが、構造設計には建築物や規模によって適合する資格が明確に決められているようなので、それに準じるのではないかと考えます。
4.対象施設・設備は原則資産計上されてるもの
倒壊してしまっている建物や粉々に壊れてしまった設備を補助対象として認めてもらうには、資産計上されていることが原則であることが示されました。まあ言われてみれば、元々あったことを証明するには当然のことかと思います。ここで重要なのは復旧という考え方。復旧とは同等に元通りという意味ですが同等・元通りの基準は何かということが問題です。
施設(基本的に建物)の場合は、簿価ではなく、同等は床面積及び機能(工法ではない)が一番の基準となるとのことです。極端な話、築50年の建物が建て替えとなった場合、同程度の床面積で新築になるということです。但し、耐震強度が足りてなかったから倒壊したわけで今後に備えて耐震強度を上げるような場合は、郷土補強部分は補助対象から外れるそうです。
設備(製造装置等)の場合も簿価ではなく、同等は機能が一番の基準になるとのこと。運よく従来使用の機種が廃番となっていた場合は若干のスペックアップも可能になりそうですが、基本的には同等スペックが原則となりそうです。
5.商品、原材料、仕掛品、消耗品は対象外
前項の原則に従い、これらは施設や設備ではないため補助対象とはなりません。被災者の立場に立ては「これも損失なのに・・・」というやるせない想いがあるかとは思いますが、実際に被害を受けたこと(被災時その場にあり、損失したこと)またその実被害額の算出を証明するが難しく、帳簿上の偽装がしやすいことから税金を使うには不適切と言う判断なのでしょう。これについては、いくら悔しくてもどれだけ訴えても承認はされません。
ここからが問題
さて、説明会では他に類を見ないくらいに質問者が多く、それだけ分かりにくい補助金だということだと感じました。
実際、回答の方も「原則・・・」と言いながらも、「・・・個別にご相談ください。」ということが多く、例外、想定外も多いのだろうなとも感じましたし、杓子定規に線引きできない部分も多いということも解りました。通常の補助金はYES/NOの線引きが明確なのですが、私の印象では今回の補助金はケースバイケースな部分が多いように感じました。
と言うわけで、貴社の場合が補助金適用の対象になるかどうかは、申請前に必ず個別相談を受けた方がよいと考えます。また、前述したようにかなり国のウエイトが大きいので、県では回答できないことも多いと予想されますので、早めに相談した方がよいと申し上げておきます。個別事情によって提出物も変わってくるので、その意味で早めの相談されるのが良いと考えます。
ですが、個別相談する前に・・・質疑応答の模様を聞いていて、感じたことがあります。
それは、補助金に対する理解が乏しく、ご自身の窮状ばかり訴えておられる方が少なからずいらっしゃったということです。この補助金は国の法律で定められたことに則り施行されるものですから、管轄の府省庁があり、府省庁には部局課があって役割分担されているのです。中小企業庁が主管している時点で、中小企業(自営業を含む)に向けた補助金であり、事業に関係ないことは対象になりませんし、農業や水産業関連は農水省が、建設・土木に関することは国土交通省が管轄であり、それらも対象にならない・・・というより管轄外のことに手出しできないという大前提を無視した質問がありました。中小企業に向けた補助金とはだからと言って、拡大解釈して何でも対象になる(してほしい)と思うのは間違いです。
それだけ、今回の震災で被害受け、突然の損害にやるせない思いをしておられる方が多いということだと思いお気の毒に感じました。被災企業にとっては、どこの府省庁の管轄かなど関係なく、いくらのお金が出ていくかにしか興味がないのもお察ししますが、国の法律の範疇を越える話ですので、それは無理な相談です。逆に、同時に、企業経営はこのようなリスクも含めたものであるはずで、それを国にぶつけるのも筋違いと言う思いも抱きました。
何を申し上げたいかと言うと、今回の補助金は、縦割りにならざるを得ない行政の仕組みの中で被災企業に精一杯寄り添おうとしたものであり、その分、あいまいな表現になって個別相談が必要になっているということです。そのことを十分に理解して、相談に臨まないといけません。
つまり、被災状況の説明や補助対象の項目について相談をする際に表現を間違えると正しく相談対応者に状況が伝わらないこともあり、それが補助対象内外の判定に影響する可能性があるということです。
補助金の仕組みを無視した我田引水的な表現をすれば、相談対応者とて人間ですから誤解を受ける可能性が少なくないでしょう。必要以上に過大要求をせず、且つ目一杯に補助対象として認めてもらうには、説明の表現の仕方を準備しておく必要があると思います。
そういうことを考えると、早めに私共にご相談をいただき、申請支援だけではなく個別相談会にも同行させていただいて的確に伝わる表現のお手伝いをさせていただくのがベストな選択ではないかと考えます。補助額が大きくなりがちなだけに、効果は大きいと考えます。
正直なところ、私にとっても異例な補助金で慣れているわけではありませんが、補助金の考え方や中小企業庁の立場は熟知していますので、事務局が求める表現は一日の長があるかと思います。まずは、お気軽にお問い合わせください。
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