令和6年能登半島地震関連の企業向け(自営含む)補助金1

 令和6年能登半島地震関連の企業向け(自営含む)補助金をご説明します。事業所の倒壊や機器の破損などの直接被害があったものはもとより、取引先や仕入先が被災したことによる間接的被害を受けた企業も対象になる部分もありますので、最後まで読んでください。また、事業者向けの補助金であり、経済産業省・中小企業庁が主管するものなので、個人住宅などは対象になっていません。そちらは、別途にあると思いますが、私の専門外なので個別にお調べください。

 2月に入って、この関連の補助金が出揃った感があります。2つの補助金がありまして、1つは国、もう1つは県の補助金になります。とは言え、県の補助金の方も、募集・受付が県ごとで行われるというだけで、お金の出元は国になります。そのため、対象となる地域は同じでどちらも石川県、富山県、福井県、新潟県を被災エリアと捉えています。

 それでは、もう少し詳しくご説明していきます。便宜上、県の補助金からご説明します。


県の補助金:なりわい再建支援補助金(富山県なりわい再建支援補助金)

 4県すべて「なりわい再建支援補助金」で統一名称となっていますが、県ごとを区別するために富山県では「富山県なりわい再建支援補助金」という名称になります。

なりわい再建支援補助金(中小企業庁のサイト):https://www.chusho.meti.go.jp/saigai/r6_noto_jishin/dl/nariwai.pdf

富山県なりわい再建支援補助金:https://www.pref.toyama.jp/1300/sangyou/shoukoukensetsu/shoukougyou/nariwai/nariwai_top.html

 この補助金は、工場・店舗などの施設や生産機械などの設備の復旧費用等に対するものです。従って、地震によりこれらの施設や設備に直接被害を受けた企業(自営業者を含む)向けとなっています。

【補助率】

・中小企業・小規模事業者:3/4以内、一部定額補助

・中堅企業等:1/2以内、一部定額補助

 尚、詳細な規定は現時点(2/9 15:00現在)では、発表になっておりません。例えば、富山県内と石川県内に両方事業所があり、それぞれ被災した場合、両方の県にそれぞれ申請できるのか?など私も解りかねます。

【補助額上限】(2024.2.21追記)

・1社当たりの補助上限3億円


 再来週に説明会が開催されます。

 2月19日(月)午前:高岡、午後:氷見にて開催

 2月22日(木)午前:魚津、午後:富山にて開催

 *各会場とも事前申込が必要です。また、各回オンライン参加も可能です。詳細は下記URLでご確認ください。⇒ https://www.pref.toyama.jp/documents/38772/nariwai.pdf


国の補助金:小規模事業者持続化補助金〔災害支援枠(令和6年能登半島地震) 第1次、第2次〕

 こちらは、もう10年近く続いている補助金の派生でご存じの方も多いかと思います。今回は通常の募集とは別で被災関連企業に特化した支援策になっています。災害支援枠の他に一般型(全都道府県で申請できる)の方も公募がありますので、混同されないようにご注意ください。

 また、申請する企業の事業所所在地の住所によって、商工会議所と商工会の2つの窓口がありますので誤解のないようにお願いします。事業所の住所によって決まりますので、勝手に他方の窓口に申請することはできません。同じ市内でも商工会議所の管轄エリアと商工会の管轄エリアがありますので、自社の所在地の管轄をご確認の上、申請が必要です。

 尚、商工会議所と商工会では、サイトも応募書式も微妙に違います。商工会議所と商工会の区別がついておられない方も多くいらっしゃるようですが商工会議所と商工会は別組織です。商工会議所の会員企業なのに「商工会で聞いたんだけど・・・」と言われることも多くありますし、その逆もあります。

小規模事業者持続化補助金〔災害支援枠(令和6年能登半島地震) 

 商工会議所の公募サイト:https://s23.jizokukahojokin.info/noto/

 商工会の公募サイト:https://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/noto/shinsei.html

 *いずれも1次公募は始まっており、公募要領という詳しいルールブックがサイトにて公開されております。


 この補助金は、小規模事業者と付いているように事業規模の小さな企業を対象にしています。この場合の規模は、常用従業員数を基準とします。業種によって違います。

 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)・・・常用従業員5名以下

 宿泊業・娯楽業・・・常用従業員20名以下

 また、補助の対象費用は、「事業再建に向けた経営計画に基づく販路開拓等」となっていますが、機器類の損壊による買い替えも対象になっています。このあたりの解釈は分かりにくいと思いますが、工場の製造ラインの機器であれば「なりわい再建支援補助金」、飲食店のオーブンであれば「小規模事業者持続化補助金」となると考えればよいと思います。ザックリ言うと家電製品に近いような事業用の機器は「小規模事業者持続化補助金」とお考え下さい。

 さらには、事業再開のために必要と言うことで、営業車やパソコン等も損壊していれば補助対象になります。但し、焼け太りはさせてもらえませんので、グレードアップは認められずあくまで同等程度の物です。また、壊れた機器等の撤去費が発生する場合は、それも対象となります。

 *何事にも例外はありますので、必ず公募要領で該当するかどうか確認する必要があります。

【補助上限】

・自社の 事業用資産に損壊等の直接的な被害があった事業者:200万円以内

・間接的(売上減少) な 被害があった事業者:100万円以内

【補助率】

・共に2/3以内


補助金とは(給付金や助成金との違い)

 給付金や助成金との区別が出来ていない方が多くいらっしゃいます。

 給付金や助成金は書類に不備がない限り、申請して受け付けられればほぼ支給されます。しかし、補助金は、申請したら必ず支給されるものではなく、書類審査を受けて合格(「採択」と言います)し、尚且つ、使った費用や活用実態等を取りまとめた報告書を提出して事後審査もクリアした場合にのみ支給されるルールになっています。審査で落第すれば支給されません。

 そして、費用は一旦全額自己負担し、事後審査後(概ね半年後程度)に入金があります。補助金を活用すると一時的には資金繰りが厳しくなりますので、『獲らぬ狸の皮算用』にならないように気をつけください。

 また、採択を受けても、報告に不備があると一部減額あるいは全額(採択)取り消しになる場合もあります。但し、必要以上に恐れることはなく、そのために公募要領にルールが詳細に記載されていますし、採択者向けの報告マニュアルもありますので、よく読み正しく理解し実行すれば問題ありません。

 とは言え、文章が(法律用語的な)難しい表現になっている部分もありますので、私たちのような専門家や事務局にお聞きになるとよいかと思います。


被災し被害を受けたことの証明

 今回のような災害発生時の緊急支援策では、必ず必要になるのが自治体の罹災(被災)証明書です。写真なども補助資料にはなりますが、基本は自治体の証明書や被害者認定書です。まあ、それらの取得をスムーズにするために写真は有効ですから、結局写真も必要と言えます。被害を受けた場所や物は省略しないで、できるだけいろいろな場所・物を撮影しておくとよいでしょう。(両補助金に共通)

<直接被害を受けた場合>

被災状況を証明する書類

(1)発災後の被害状況(施設・設備ごと)の写真の撮影・保管

(2)罹災(被災)証明書の取得(事業所所在の市町村)

(3)被災施設・設備の所有を証明できる書類等の保管

例)固定(償却)資産台帳(車両の場合、任意自動車保険証)


支出を証明する書類

 補助金は、国民や企業から集めた税金から捻出されるわけですから、支出の正当性を証明する書類も必ず必要となります。目的としては、価格が適正であるかどうかと言う面と支出に当たって通常の商慣習上に則った手順を踏んでいるかという面の確認です。そういう意味で、下記の書類が必要になります。必ず受け取って保管しておいてください。

(1)見積書(原則相見積もり)

(2)請求書(請求明細書も合わせて)、領収書(或いは振込の記録:通帳、振込依頼書、銀行の入出金明細)

*納品書や物品受領書では、支出の確認ができないので証拠になりません。

*同様に請求書があっても「一式」と書かれたものは、内容が分からないので証拠になりません。不要なものや過分なもの、該当しないものが含まれていないか、水増しされていないか等を確認でいないからです。物品の場合は、単価×数量に分解されている証拠書類が必要です。

(3)契約書

*物品購入の場合は、大概請求明細書で確認することができます。しかし、サービス等の対価については単価×数量に分解もことも多いからです。そこで、契約書が必要になります。契約書は、双方がどこからどこまでの業務をいくらで依頼するということが詳細に記された書類ですので、業務の内容や期間や時間などの範囲が明確に記されていることで証拠となります。

(4)会計帳簿(電子的な会計システムも含む)


<間接被害を受けた場合>

 小規模事業者持続化補助金災害支援枠(令和6年能登半島地震)では、間接被害を受けた場合でも補助金申請できます。1月か2月の売上が対前年同月比で-20%であれば申請できます。但し、間接被害を受けた証明書をやはり自治体等から受け取る必要があります。詳しくは、公募要領をご確認ください。


 最後に、中小企業庁で令和6年能登半島地震関連の支援策を取りまとめたガイドブックが公開されています。特別融資や税金の減免策、雇用関係の補助なども含めたものを網羅されていますので、こちらをご確認ください。

中小企業者等向け支援策ガイドブック:https://www.chusho.meti.go.jp/saigai/r6_noto_jishin/dl/guidebook.pdf


 実は、ここまで補助金の説明を書いてきましたが、これが本当に被災された企業への支援になるのか疑問を感じる部分もあり、それを踏まえて次の投稿(令和6年能登半島地震関連の企業向け(自営含む)補助金2)で、補助金申請の申請支援について書きます。(多分、明日の投稿になります。)


補助金申請支援に関するお問い合わせフォーム

 当社へのお問い合わせは、下記フォームより承っております。このフォームでのお問い合わせについては無料ですので、安心してお問い合わせください。尚、フォームは外部のシステムを利用した当社専用フォームですので、外部サイトにつながります。

 お電話でのお問い合わせは受け付けておりません。

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GF経営研究所

主に富山県内で活動する中小企業専門の経営とITのコンサルティング事務所です。

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