中小企業こそAIの活用を考えるべき!?

 先日、偶然目撃したNHKのニュースではアナウンサーが「このあとはAIの自動音声でニュースをお伝えします。」というシーンがありました。アナウンサーがいるのに、なぜわざわざAIに読ませる?と思い、良く聞き(見)ましたたが、アナウンサーが読んでいるかのような自然なアクセントやイントネーション、声の強弱で全く違和感を感じませんでした。多分、アナウンサーの省力化だと想像できますが、スタジオにアナウンサーがいるのになぜAIに読ませるのかという疑問は解決しなかったので、MicrosofのBing(ネット検索と文字生成AIを組み合わせたシステム)を使って、理由を検索してみました。


 ネット検索としてはITmedia NEWSのAI+の記事が検索され、文字生成AI(ChatGPT-4)が要約文を示してくれました。要約文は、ITmedia NEWSのAI+の記事を要約したものでした。以下のとおりです。

気象情報やニュースなどの原稿を、NHKアナウンサーに読んでもらったデータをディープラーニングで学習し、AIアナウンスの音声を開発しました。放送音声から学習データを自動抽出して学習することもできます。AIシステムに原稿と放送時間を入力すれば、ぴったりの長さで原稿を読めます。


 なるほど、AI音声なのに、自然な原稿読みに聞こえたのは、教師データがアナウンサーの放送音声なら自然なのも納得できました。日本一(=世界一)正確に日本語を発声するNHKのアナウンサーの音声データを教師データにしているから自然なのですね。

 でも、肝心のなぜがわかりません。それは、ITmedia NEWSのAI+の記事本文に書かれていました。

AIシステムに原稿と放送時間を入力すれば、ぴったりの長さで原稿を読める。(中略)アナウンサーの人員は限られている。特に地方局では、数少ないアナウンサーに仕事が集中しているが、AIが代替できる業務はAIに任せることで、人間のアナウンサーの負担軽減・働き方改革につながる。(中略)AIアナを使うことで、アナウンサーの負担だけでなく、編集・技術スタッフの仕事を削減できる。

 そういうことなんですね。今度は納得です。人材不足は業種を問わず共通の課題ですし、アナウンサーの人数が限られている地方局では残業規制の問題からも重要な問題なのですね。


 前談が長くなりました。

 さて、今日の本題は、「中小企業こそAIの活用を考えるべき!?」というテーマです。NHKは良いとして、中小企業が気軽に(安価且つ低リテラシーで)使えるAIはあるのでしょうか?

 答えは、あります!文字生成AI『ChatGPT』が候補筆頭であり、すべての業種に共通するAIと言えます。前出のBingも文字生成AI部分は『ChatGPT』ですので、一括りで扱っていきます。

 私自身は、ChatGPT本体もBingも2~3月頃に導入して活用しておりますが、用途によって使い分けています。上記のように、最近の出来事を詳しく且つ手短に知りたい場合や、出処を正確に知りたい場合はBingの方が優れているのでBingを使います。利用はとても簡単で、感動するほど明確な答えが得られることが多くあります。国語能力がとても高いですし、EXCELの関数も熟知しているので、有能なアシスタントとしていろいろ助けてもらっています。


 タイトルでは、「中小企業こそAIの活用を考えるべき!?」と問いかけていますが、もうおお分かりの通り、答えは「中小企業こそAIの活用を考えるべき!」です。

 「でも、ChatGPTはいろいろ問題があるんでしょ?ニュースでも使うかどうかいろいろなところで議論されているとのことで、否定的な意見も多いじゃないか?」とお思いの方、そのいろいろな問題とは具体的に何かご存じでしょうか?


 大きな問題は、2つあります。

 1つ目は、このAIはネット上の情報をたくさん取込む(AI用語で「学習」と言います)ことで成長しています。AIの学習過程で、ネット上にはフェイクNEWSや個人的な思想に偏った表現もありますので、その影響を受けてしまう場合があります。また、文章力に問題のある紛らわしい表現だとAIが誤解をして同様に影響を受けてしまう場合があります。これらの場合、AIの回答を鵜呑みにしてしまうと大変なことになります。

 2つ目は、無料で使えるChatGPTに企業内の秘密情報を入力してしまうとAIがその情報も学習してしまいますので、意図しない形で情報漏洩を起こしてしまう可能性があります。企業戦略や技術情報に関わることや個人情報に関わること等だととても危険ということになります。

 対策としては、1つ目の問題は従業員さんに正しく教育を行い、使い方を制限する(AIの回答を引用することを禁ずる等)ことが考えられます。エビデンスを確認すれば問題ないのですが、面倒くさくてつい省略してしまうことも十分に考えられるので禁止にした方がよいでしょう。

 2つ目の問題は、有料契約し、Aiの学習に反映させない選択をすればこの問題は解消します。有料と言ってもそこまで高くない(私の主観です)ですし、費用対効果を考えると十分アリだと考えます。


 世間で言われている問題はそれほど大きくなく、解消可能であることは分かっていただいたところでメリットの話をします。

 ChatGPTはいろいろなことができますが、大きなメリットは以下の通りです。

 1.翻訳

 2.文章の要約

 3.文書の構成案の作成

 4.返答の作成

 5.プログラムの作成


 例えば、2番の機能を使えば、長い文章を要約してくれますので、業界の通知や部下の報告書(笑)なども蛇足部分をカットしてくれますので時短になります。まあ、部下の報告書は、前出の情報漏洩の危険がありますので無料版では使わないように注意する必要があります。有料版であっても、そこは全部読んであげましょう。

 私は、役所の文書を読む時に使います。役所の文書は、いたずらに長いし、言い回しがまどろっこしいところがありますのでとても助かります。


 1番と2番の機能を組み合わせれば(機能に区分はないので、そういうアウトプットの要求をするだけです)外国語で書かれている報告書や論文なども翻訳して、要約してくれます。3番は、プレゼンテーションや報告書の構成を作ってくれます。4番は、例えばメールや手紙の返信文を考えてくれます。1番と組み合わせれば、外国語のメールに返信することも可能になります。5番は、PythonやVBAなどの言語でプログラムも書いてくれます。EXCELのマクロのプログラムも一瞬で書いてくれますし、関数の使い方も示してくれます。

 これだけでもかなりすごいことが伝わると思いますが、Youtubeで”ChatGPT”と検索すればもっとたくさんの機能・使い方が山のように出てきますので、いくつかご覧になっていただければ、さらにそのすごさがご理解いただけると思います。


 このように、ChatGPTを使うと驚くほど時短が可能になり、アウトプットの質も向上します。つまり、格段に生産性が向上します。使わない手はないでしょう。新しいものを使うことを面倒くさがり、使わない理由を探している方は一刻も早く価値観をアップデートして活用していただければと思います。

 さらにこれは、AIのただ一つの分野である文字生成AIに限っての話です。AI全体に視野を拡げれば、さらに多くのことが可能になります。人材不足は、中小企業の方が遥かに大きな影響がでます。AIをうまく活用できるかどうかは、これからの中小企業の生命線を握ると言ってもよいのではないでしょうか。




GF経営研究所

主に富山県内で活動する中小企業専門の経営とITのコンサルティング事務所です。

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