IT導入補助金の公募が開始されました
正式名称は「サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金」(通称:IT導入補助金)の公募が3月13日に開始されました。名称が長いので略称で覚えればよいのですが、正式名称にはこの補助金の意義が込められておりますので、一応は知っておいた方がよいかと思います。
この補助金は、新たに開発するシステムは対象にならず、既存のパッケージシステムorクラウドシステムなど広く販売されているシステムしか補助対象になりません。しかも、対象となるシステムは、そのシステムの導入を支援するコンピュータ会社から事務局への登録が必要です。さらに、システムの導入を支援するコンピュータ会社(IT導入支援事業者)も同様に事前申請して事務局に登録になっていなければいけません。
今回の1次公募では、1次公募だけの限定ルールということで、2次公募以降ではルールが変わる可能性が示唆されています。また、今回の1次公募ではA類型だけの公募なりました。そのようなわけで、IT導入補助金のページではなく、このページにダイレクトに書き込みます。
さて、このIT導入補助金ですが、異例の急展開で公募を開始しました。何しろ、事務局の公募・審査が終わって発表されたのが3月10日。普通なら、そこから2週間以上間が空いて公募開始となるのですが、わずか3日で公募開始となりました。通常ならあり得ません!事務局も対応できるはずがありません!ちなみに、私はあるルートから「13日に公募開始になるよ」と聞いていましたので飲みに行かず対応できましたが、事前に聞いていなかったらこんなに早くこのページは上げられなかったと思います。
事務局となる団体は、過去3年間も同じ団体でしたのでこんな無茶振りも対応できたのでしょう。と言っても、公募サイトも「IT導入補助金2020」の内容と「IT導入補助金2019」の内容が混在しているような状態で、準備不足な面が随所に見られます。そこまでしても、新型コロナウイルスの緊急対策に是が非でも盛り込みたかったのでしょう。
あまり詳細な情報は掲載されていませんが、チラシもご覧ください。
サービス生産性向上IT導入補助金チラシ
さあ、具体的に見ていきましょう。
まずは、公募形態です2つがあります。さらに、生産性向上の見込み成果と補助額によって分けられています。
1.A類型
2.B類型(1次公募では公募を行わない)
◆サービス等生産性向上IT導入支援事業
〔業務の目的〕
中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイスの導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が生産性の向上に資するITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入するための事業費等の経費の一部を補助等することにより、中小企業・小規模事業者等の生産性向上を図ることを目的とします。
〔事業の実施期限〕
原則、3万者程度の中小企業・小規模事業者等に対して補助金の交付が終了するまでとします。なお、中小機構第4期中期目標期間終了(令和5年度末)までを最長とします。
3万者とあるのは、3万社の誤字ではなく応募対象が組合等も含まれるためです。おおよその目安としては3年度で3万者ですから1年度あたりでは1万者、前年比べ微増ですね。(昨年実績:申請数 25,669件、採択数 7,386件)尚、採択者数ではなく、総交付金額で判断するとのことで、採択者数は増減します。(採択数にはB類型も含まれます。)
1 A類型
ソフトウェア代金、クラウド利用費、教育訓練経費等を支援。ハードウェア費用は含まれない。
〔補助額・補助率〕
補助額:上限150万円 下限30万円
補助率:1/2
〔公募開始〕
公募開始:2020年3月13日(金)
申請受付:同日
応募締切:2020年3月31日(火) 17時(1次締切)
*その後も継続的に公募は続け、令和2年度中はあと3回締切を設ける。
2次公募 2020年6月
3次公募 2020年9月
4次公募 2020年12月
第1次締切分事業実施期間:交付決定日以降~2020年9月30日(水)まで(予定)
*事業実施期間とは、発注~納品・支払完了までを指します。実質5ヵ月間しかありませんが、応募・申請の時点で採択されれば発注することが前提の応募となりますので、普通に進めれば十分間に合います。
〔申請要件〕
中小企業・小規模事業者等を基本とし、以下の要件のいずれも満たす者。なお、本事業で「IT導入支援事業者」として登録する事業者は補助対象者には該当しません。
一 本事業を実施する事業者の労働生産性について、1年後の伸び率が3%以上、3年後の伸び率が9%以上及びこれらと同等以上の生産性向上を目標とした事業であること。
(労働生産性とは、以下の計算式で算出されるものをいう。)
付加価値額/(従業員数×1人当たり勤務時間(年平均))
(付加価値額とは、以下の計算式で算出される粗利益をいう。)
付加価値額(粗利益)=売上-原価
二 事務局があらかじめ認定した「IT導入支援事業者」が登録するITツール(ソフトウェア、サービス等)等を導入する事業であること。
〔加点要件〕
一 生産性向上特別措置法(平成30年法律第25号)に基づく特例措置に関して、固定資産税の特例率をゼロの措置を講じた自治体に所属していること。(先端設備等導入計画の認定は不要)
二 地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認を取得していること。
三 補助金申請時点で地域未来牽引企業に選定されており、地域未来牽引企業としての「目標」を経済産業省に提出していること。
四 導入するITツールとしてクラウド製品を選定していること。
五 本事業を通して取り組む事業において、在宅勤務制度を導入するためのテレワークの導入を行う事業者であることを交付申請時の事業内容に明記していること。。
〔減点要件〕
申請時点において、過去3年間に、類似の補助金(平成28年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業、平成29年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業、平成30年度2次補正サービス等生産性向上IT導入支援事業、令和元年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業)の補助金の交付を受けた事業者は、審査上の減点措置を講じる。
〔留意事項〕
〇本事業において補助事業者自身が行うべき行為(申請マイぺ-ジの開設及びその後の交付申請における手続き等)を当該補助事業者が行っていない(なりすまし行為)と事務局が判断した場合は、補助金の交付(申請含む)を取り消し、補助事業者とその支援を行ったⅠT導入支援事業者の名称を公表する場合がある
(他の文章省略)
◎梶野の解説
「~コロナウイルス景気対策~」と謳って、無理矢理急いで公募開始した割には、コロナウイルス被害に苦しんでいる事業者には優しくない申請要件となっています。労働生産性の伸び率を1年で3%、3年で9%達成しなければいけないのですが、コロナ被害がでている1年目が特に厳しくなりますね。他の補助金では、コロナ被害のある事業者はこのあたりが加減されていますが、この補助金では容赦なしです。ただ、2次締切以降では有利になる場合もでてきますね。
また、加点要件が、全然変わってしまいました。何とも不思議な加点要件になったものです。これでは差がつかないですね。ほとんどの項目が差が付きにくく、あまり気にしなくてもよさそうです。強いて言えば四のクラウド製品であることという項目だけ押さえたいですね。
あまり批判はしたくないのですが、大義名分と実際がちょっとちぐはぐな『本音と建前』的な印象を受けたのが正直なところです。
そして、1次公募だけなのか、2次以降もそうなのかは分かりませんが、去年まで申請要件だった「おもてなし認証」と「SECURITY ACTION」の宣言が跡形もなく無くなりました。目標数値達成なんでしょうかね。
もう一つ、今年度の大きな変化であるjGrantsによる電子申請ですが、1次公募に限っては「gBizIDプライム」が必要なくなりました。申請は、従来通りIT導入補助金のWEBサイトから申請マイページへログインして入力するスタイルのようです。ログインするためのIDとパスワードについては、IT導入支援事業者からの招待により発行されます。
絶対間に合わないだろうなと思ってましたが、やはり間に合わなかったようです。「gBizIDプライム」の発行に時間を要しますし、jGrantsの改修も大変です。こんなところもドタバタですが、緊急対策っぽくていいですね。尚、次回以降は、jGrantsを使うようです。
〔IT導入支援事業者について〕
大事なことを書くのを忘れていました。
急に公募を開始したために、例年なら公募に先立って行われるIT導入支援事業者とITツールの審査がありません。2019で登録されているIT導入支援事業者とITツールがぞのまま対象となります。(採択取消になったIT導入支援事業者とその登録ITツールを除く)
公募要領やIT導入支援事業者とITツールの検索など、詳しくは下記IT導入補助金2020のWEBサイトでご確認ください。
IT導入補助金2020WEBサイト
最後に
この補助金はIT導入支援事業者による代理申請ということで「俺(社長)は何もしなくていいんだろ?」という質問を何度か受けました。残念ながらそうではありません。IT導入支援事業者に渡す資料は自社で作らなければいけませんし、中でも経営計画はIT導入支援事業者には手伝ってもらえません。それどころか、申請者の情報部分は自分で入力しなければ採択取り消しになる可能性もあります。実際に昨年の同補助金の採択取り消し案件が公表されています。経営計画部分は、申請企業側が準備しなければIT導入支援事業者は作れませんからね。
この補助金に応募申請をされたい方は、ぜひ、経営計画の見直しからご相談ください。採択された申請の支援実績がある私にお任せください。また、ご要望があれば申請書の電子入力時は、横でご支援します。まずは、遠慮なくご相談ください。お問い合わせフォームでのお問い合わせについては無料です。
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結局更新完了は、3月14日5:24までかかりました。(とほほ・・・)
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