いよいよ激変の時代のスタートです!
はじめに、2021年の年賀状は、新型コロナウイルス感染のリスクをお送りするわけにいかないとの考えから控えさせていただきましたが、今年は再開しました。
さて、物々しいタイトルとなりましたが、私自身が感じている危機感と高揚感を皆様と共有したいと考えてこの記事を書いています。時代の変化を出来るだけ易しく書くように努めて書いていきます。前半は2021年を振り返り、後半は2022年から始まる激変の時代を予測し、結論として、これから取り組むべきテーマを書きます。
結論を先に書くことなんてしませんよ!これらは一連のストーリーになってます。順番に読んでいただくことで理解できるようになっています。2022年から始まる激変の時代を皆様が乗り切るための参考になれば幸いです。
2021年の振り返り
2021年、私はお客様企業においては「アップデートしていますか?」と申し上げてきました。Windows Updateやアプリのアップデートの話ではありません。これまでの価値観や当たり前としてきたことなどをもう一度見直し、時代に即した形や表現へとアップデートしましょうという話です。
いみじくも、年末に放送されていた池上彰さんの特番でも『価値観と常識のアップデート』をテーマにしておられました。番組を見ましたが意図は私と全く同じ、「少し前と今ではいろいろなことが変化しており、アップデートされてない古い知識や常識と経験、それに基づく価値観で判断していては間違えますよ!」という警鐘でした。
また、それにアップデートという言葉を使うのが適切という考えも完全一致で、気味が悪いくらいでした。既に意識されている方には恐縮ですが、少しだけお付き合いください。
アップデートとは、『ソフトウェアやデータなどを、最新のものに書き換えること。』で、もともとはIT用語ですが、もはやカタカナ語として日常化しており、アナログな知識や常識と経験などに対しても使われるようになっています。
パソコンやスマホなどにおいては、技術の革新やセキュリティ上の問題から、その対策としてOS(WindowsとかAndroidとか)がアップデートされます、すると、それに連れてアプリもアップデートされます。そうすると、また新たなセキュリティの穴が見つかり、またOSのアップデートと永遠に繰り返されて行きます。
それが、ITの世界の中の話だけなら経営者のみなさんは担当の部下の方に任せておけばよかったのかもしれませんが、今やビジネスの在り方、つまりビジネスモデル自体をアップデートを繰り返す企業が増えてきて、技術やサービスも日々変化しています。こうなると、「うちは古い業種だから関係ないよ。」とは言っていられない事態になってきているということです。コロナ対策で消費者の行動スタイルが大きく変化し、企業のワークスタイル大きく変わってしまいました。その結果、予想外の業種から競合企業が現れ、一気にシェアをさらっていくことが起きています。
従来のイメージは、図1のような感じでした。しかし、今は図2のように変わってきています。過去の知識や常識・経験とは全く別の強い要因によって、これまでの経験則にない方向に未来が向かっています。これがご理解いただければ、知識をアップデートし、常識・経験を見直すなければいけないことがご理解いただけると思います。
まだ、コロナの治療薬ができれば元に戻るとお考えの方がいらっしゃるようですが、それは絶対にありえません!断言できます。
なぜかと言うと、コロナによってほぼ強制的に変えさせられたスタイルによって、今まで気付かなかったことに気付いてしまったからです。例えばキャッシュレス。お金は汚い(感染リスクが高い)からとキャッシュレスを始めてみると意外に便利。家計専用のクレジットカードを使えば、自動的に家計簿ができてしまうし、レジでの精算が早い。そして、意外にポイントが貯まる。コロナに関係なく、もう現金払いには戻れません。ビジネスでもオンライン会議などがそうでしょう。移動レスは会社にとっては経費削減、個々人にとっては時間ロスがなくなりますし、自動で録音から議事録作成までできてしまうとなると止める理由がありません。
2022年から始まる激変の時代
さて、ここからが本題。このような環境下迎える2022年、と言うより2022年からの未来を考える場合には、さらに新しい要因が加わってきます。私は、全業種に関わることとして2つのテーマを挙げます。
1.DX
2.行かない
1つは、DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)、もう1つは、『行かない』です。「なんだ、DXなんてもう聞き飽きたよ!」とおっしゃらないで、最後まで読んでください。数年以内に事業に関わるすべての人がDXから逃れられないことが決定的になって来ています。2つ目の『行かない』、意味深ですよね?
では、説明していきましょう!
1つ目のDX、「今さら・・・」「うちみたいな規模の会社(業種)ではDXなんてできないよ。お金もないし人もいないし・・・」という声が聞こえてきそうですが、まあ、そうおっしゃらずに。
そもそも横文字が並ぶから、それだけで「無理!」ってなる面はありますが、そんなに構える必要はありません。例えば、今までFAXでやっていたことをメールに変えるだけでもDXになる場合もあります。大事なことは、過去の延長線上ではない、今までと違う未来に向かうことです。それがDXであり、何でもかんでもIT化するという意味ではないのです。
トランスフォーメーションとは、変身、変態(変容)すること(その変態ではありません!)で、新しい未来に向かう時には何かしらの変身、変態(業態或いはやり方を変えるという意味)が必要になるという意味なんです。その時には、ITが費用対効果の面でも、効率化の面でも効果的になることが多いというだけでデジタルと付いているだけです。
例えば飲食店。多くの飲食店は、従来は宴会の獲得が成否を分けていました。しかし、どうでしょう?コロナが終息しても大人数の宴会が元通りになることはないでしょう。コロナ自粛の間に消費者はいろいろなパターンを体験してしまいました。今までは宴会一択だったのがこれからは選択肢の一つになってしまいます。なので、テイクアウトとかデリバリーとか自販機とか、売り方を変えるトランスフォーメーションするという話です。
次の例。みなさん大好きな獺祭(だっさい)の例。従来、杜氏さんの勘と経験と度胸で作るのが日本酒の造りだったのを杜氏さんなしで素人の社員だけで造り、その代わりに醸造学の研究と徹底的なデータ管理であの名酒が生まれたのです。要は、杜氏さん勘と経験と度胸をデータに移し替えたことによる、製造方法のトランスフォーメーションだったのです。
さらに、さらに、芸能人のYoutuber化というのもありますね。例えばお笑い芸人さん。従来の収益モデルは、テレビにたくさん出演して顔と名前を売って、“営業゛と呼ばれる地方のイベントで稼ぐというものでした。でも、営業イベントが少なくなり、稼ぐ道がなくなったのでYouTubeに進出しました。テレビでレギュラーをたくさん持つ超売れっ子以外は、テレビ出演も“営業゛も、収入が安定しないフロー型のビジネスモデルでしたが、Youtuberは安定収入が見込めるストック型のビジネスです。見せ方のトランスフォーメーション、これも立派なDXというわけです。
世の中の当たり前が変わってきた今、私のような一人でやっている個人事業でもDXをしなければならないし、費用的にも十分できます。会社組織なら規模や業種に関係なく、さらに必要になってきます。
続いてもう一つのテーマ、『行かない』とは一体何でしょう?
これはコロナ禍が大きく影響していますね。コロナ感染が世界的に拡大し、海外ではロックダウン、国内では緊急事態宣言や蔓延防止法が発令され、或は自主的な感染対策で我々は行かないことを強要されたり、『行かない』選択をしたりするようになりました。コロナ前は行くのが当たり前だったことが、最早『行かない』が当たり前になっています。
・会社に行かない(テレワーク)
・出張に行かない、商談に行かない、会議に行かない(オンライン会議・リモート会議)
・展示会イベントに行かない(オンライン展示会)
・セミナー・研修に行かない(オンラインセミナー・オンライン研修)
・会食に行かない
・学校に行かない(オンライン授業)
・旅行に行かない、帰省しない(バーチャルトラベル、テレビ電話)
・外食に行かない(テイクアウト、デリバリー、ケータリング、出張料理人)
・買い物に行かない(巣ごもり、ネットショッピング)
・病院に行かない(オンライン診療)
どうですか、ざっと見ただけでも我々はこんなに行かなくなっています。わざわざ行かななくても済む時代になっています。初めは、コロナ対策で対人接触を減らす目的でしたが、やってみたら意外に便利!ということで、定着してきました。テレワークを定着させた会社は、会社側も従業員もどちらも「もう戻りたくない」と、出社しないことの価値に気付いてしまいましたからね。
『行かない』時代へ本格突入することが決定的であることを証明するNewsが2021年末に飛び込んできました。住宅建材大手のLIXILグループの本社移転です。4棟からなる自社ビルの土地・建物を売却し、オフィス面積を9割減らして賃貸ビルに移転するというのです。
意思決定の迅速化と業務の効率化を進めると同時に、従業員同士の活発なコミュニケーションを促すことを目的に2年前に1棟を新たに建設し、同時に旧棟の2棟も改修して集約を図ったばかり。わずかに2年で売却移転の急速方向転換。自社ビルを売却しオフィス縮小で賃貸ビルに移転なんて、従来の価値観では業績の急速悪化以外にはありえない挙動ですが、今回の移転理由は違います。
「コロナ前の働き方に戻ることはない」とし、新しいオフィスを、「従業員が執務に当たる場所ではなく、コミュニケーションとコラボレーションをする場所」と位置付けての移転ということ。テレワークが定着し、出社率がかつての10~15%に減っている現状を踏まえてのことということで、「もう会社に行って(出社して)仕事する時代じゃない!」と言っているようです。価値観をアップデートするとこういう結論になるわけです。
『行かない』は、規制によって起こったコロナ前の縮小型ではなく、時代の変化を前向きに捉えた進化型であるという風に価値観をアップデートして考えないと会社の舵取りを間違えることになりそうです。
実は、『行かない』のその先にあるのはメタバースです。メタバース(Metaverse:3次元仮想空間)なんてまた新たな横文字が出てくると無条件で拒否反応が出てくるでしょうが、早ければ5年、遅くとも10年以内にインターネット発展型として全世界の主流になるでしょう。
メタバースとは何か、10年ほど前に全世界で大流行した『セカンドライフ』というゲームをご存じでしょうか?『セカンドライフ』は、概念的にはメタバースそのもので、あれが分かる人は一番イメージしやすいと思います。他には、映画の『マトリックス』『サマーウォーズ』『竜とそばかすの姫』などにも非常に近いですね。他には、『あつまれ どうぶつの森』(通称:あつ森)もメタバースだという人もいます。
メタバースの世界では、リアル社会とは別のもう一つの社会があり、その中でリアルの世界と同じことがほぼほぼ再現できていきます。参加者は、アバター(自分の分身)を作りますが、それぞれ人格をもち、社会活動や経済活動を行うことが可能な空間です。
そこで、物を買うこともできますし、映画を見ることだって、ギャンブルをすることだって、働くこともできます。土地も買えますし、ビルも建てられます。ここから先は想像してみてください。
家を出て会社のあるビルに入れば出社できます。そこには、経営者や同僚のアバターもいて、挨拶やコミュニケーションもできます。会議室に入れば、そのままオンライン会議に突入となり、自席に座ってパソコンを立ち上げれば、誰かが話しかけてくるまで通常業務ができます。昼になって、お腹がすけば飲食サイトを開いて注文すれば、ウーバーイーツや出前館で現物の食事が届きます。決済はすべてメタバース上の仮想通貨で行なわれます。給料は仮想通貨で払われます。
お気づきでしょうか?もう円もドルも要らないんです。世界中が一つの通貨(仮想通貨)になります。このように現存するインターネット上のすべての機能(技術)がメタバースに集約されて行きます。すべての技術・機能・サービスがメタバースの機能の一部になって取り込まれて行きます。もちろん自動翻訳機能も取り込まれて行きますので、それぞれが自国言語を通じて世界中が一つになります。想像もつかないような莫大な市場がそこには広がっているのです。
2021年10月、アメリカ4大巨大企業GAFA(ガーファ:グーグル、アップル、フェースブック、アマゾン)、或はこれにマイクロソフトを加えたGAFAM(ガーファム)の一角Facebookが社名をMETA(メタ)に変更しました。もちろん、メタバースのメタです。これだけの巨大企業が社名変更をしてまでこの市場への参入(占有)を宣言するくらいです。メタバースの世界は、すぐそこまで迫っています。
さて、話を戻すと、メタバースの世界では、もうどこへも行く必要がありません。パソコンやスマホを開けば、すべてその中で完結します。トイレと食事と風呂以外は、ベットから一歩も動かずすべてができるのです。起きている時間の大半はメタバースの世界上で過ごすことになります。
さすがにそこまで行くには10年かかると思っているのですが、予想以上に早く実現するかもしれません。今、我々がすべきことは、自社業務の『行かない』に該当することは何かを洗い出し、対応することではないでしょうか?
例えば、山梨県のある不動産会社は、すでに「不動産屋に行かない時代」を想定し、業務の転換を進めておられます。不動産業自体はなくならなくても、提供するサービスの内容や在り方が変わるということです。それに合わせて、今から投資する方向を従来とは変えておられます。 バイデン米大統領が大統領選挙戦中に、『あつまれ どうぶつの森』に自分の島を作って公開するなどの使われ方もしました。選挙戦の戦い方さえも変わるということです。
目ざとい企業は既にメタバース上にアンテナショップを立てるなどしていますが、メタバースは概念の名称であり、固有サービス名ではありません。どのサービスと言うか仮想世界が天下を取るかも分かりませんので、中小企業ではまだメタバースそのものに投資するのは早計かもしれません。しかし、準備だけは始めておく必要があると考えます。全く別の価値観の世界ですから、経営者の方もメタバースを少し勉強し、何かを触ってみて世界観を実感しておかないといけないでしょう。
VR、AR、MR、XRについても、知識を得ておいた方がいいですね。それぞれ、メタバースと相性も良く、メタバースの重要構成要素になる技術ですから、メタバースがどういう方向に進むのかを想像する意味でも知っておいて損はないと思います。詳しい説明は、大分長くなりましたので、ここでは割愛します。
裏付け
最後に、こんなことも知識のアップデートをなさってください。
デジタルネイティブという言葉をお聞きになったことがありますか?生まれた時から、身の回りにデジタル機器があり、デジタルと共に育ってきた人種(世代)の総称です。何年生まれからがそれに該当するかというのは諸説あって定まっていませんが、私はiPhoneが登場したのが2007年ですから、その約10年前に生まれた1996年生まれ以降という説を推しています。この以降の人は、中学生或いは高校生からスマホに触れてきたと考えられ、デジタルに抵抗がなく、逆にアナログに抵抗を持つ世代と言えると考えます。
1996年説で考えると今25歳くらい。これから入社してくる人達は、すべてデジタルネイティブです。5年もすれば、会社内の勢力は逆転するか拮抗してくるんじゃないですか?つまり、今はまだ却下できても、5年後には却下できない状況になるということですよね?
そして、富山大学では、2020年の入学生から全学部でデジタルサイエンスを必須課程としました。これは画期的なことです!2020年からということは今2年生、春には3年生になるわけですから、2022年には就活生としてデジタルサイエンスの知識を持った人材が登場します。データサイエンスは、データを読み解く能力と解釈すればよいでしょう。
つまり、2年後2024年入社組からは、データを読み解く知識を持った人材が入社してきます。これは、本格的なDXに取り組む大チャンスです。彼らが仕事に慣れて、力を出し始めるの2025年からと考えれば、今からデータの整理を始めてもギリギリ間に合います。まずは、紙のデータをデジタル化する、暗黙知(個々人の頭の中にある経験・ノウハウ等)を形式知(みんなが見られる状態)にすることから始めましょう。
どうですか?2022年、DXや行かないに取り組み始めないといけない裏付けもあるでしょう?
2年後の春にはこんな人材が入社してくるかと思うとワクワクしてきます!100年一度の大チャンスが目前に迫っているんですね!!
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