事業再構築補助金は使えるのか?
先週末の富山県内を見ていて、強い危機感を感じています。外から見る限りでは、飲食店は軒並み満席、駐車場も満車のお店が多かったように思います。何より、県外ナンバーの車が異常に多く感じました。緊急事態宣言も解除され、時節は春休み、これまで延期を重ねてきた帰省をされた方が多かったのかもしれません。2週間後(4月20日前後)の感染者数発表が恐ろしいです。
首都圏の緊急事態解除後、これですべての闘いが終わったかのように緩んだ空気を感じていました。気持ちはわかりますが・・・
首都圏の緊急事態解除は、首都圏の感染状況が落ち着いてきたのが理由で、(私の個人的見解としては、主理由は別の理由と考えていますが)、本来富山県とは関係がないはずなのに、なぜ、みなさん安心し切っていらっしゃるのか?正確に言えば、集まって飲食したいという欲が勝ってしまっていて、首都圏の緊急事態解除を都合のいい理由に仕立て上げているというのが本当のところでしょう。
むしろ、首都圏の人が動きやすくなる分首都圏との往来が増え、地方にとっては危険度が増すと考えるべきなのに。飲食店経営者の方には、「もちろん、私は感染の専門家ではありませんが、どう考えてもこれは危険な兆候です。これから富山の感染者は増えますよ。一層気を引き締めた方が良いですよ。」とお伝えしましたが、期待に気持ちが向いているのか、みなさん真剣に受け止めていらっしゃらないご様子でした。
一昨日の県内感染者数の発表は29人。首都圏の緊急事態宣言解除から2週間余りでちょうど結果が出るタイミングです。出るべくして出た当然の結果ですよね。
私たちが気を付けなければいけないのは、自分の欲に負けないことではないでしょうか?何かをしたい欲が勝ってしまうと、冷静な時なら明らかに間違いとわかる選択をしてしまうのが人間という生き物ですよね?欲の実現に都合の良い理由を探し、強引に正しいと判断したり、拡大解釈に拡大解釈を重ねたりして無理やりこじつけて「自分は正しい」と自己暗示にかけてしまいます。
例えば、「外食は家族内にとどめましょう!」というアナウンスを聞くと、「家族なら外食OK」とすり替え、さらに「職場の同僚は家族より一緒に過ごす時間が長いからOK」などと勝手に拡大解釈するのが良い例です。家族は、家庭内でも一緒に食事をするわけで、食事を介しての感染リスクは外食しても大差ないからというのが本来の理由で、同僚とは、職場でもマスクをしているし、昼食時も離れて食べているはずで家族と同様ではありません。
また、「公共交通機関を使うわけじゃないから帰省しても大丈夫だよね?」というのも拡大解釈ですよ。感染学の専門家がおっしゃる家族とは同居家族を指しているのであり、別居家族は他人同等のリスクです。今なら帰省してもいいという理由にはならないはずです。
念のために申し上げますが、私は自粛警察ではありません。「もう少し冷静に是非善悪を考えてみましょう。」と提言しているだけです。まだ我々はコロナの脅威から逃げ切ってはいないのですから。「社会全体のために」というのは綺麗ごとではなく、新型コロナウイルスが沈静化しない限り経済の本格的回復は望むべくもなく、それは個々人の収入にも影響するし、行動の自由抑制にも影響しているわけで、『社会全体のため=自分のため』であることを我々はもっと強く認識する必要があるのではないでしょうか?
先週末の県内の状況を見る限り、4月20日ごろには県内の感染者数は過去最大となるでしょう。その時の対処を早めにとっておきましょう。どうか賢い皆様は、これから起こる状況を先読みし、事前に手立てを行うことをなさっていただきたいと思います。
さて、ようやく事業再生構築補助金の話です。公募は来週4月14日から始まります。令和2年度第3次補正予算の目玉、大型の補助金(予算規模1兆1,485億円)として経営者のみなさんに期待の高い補助金です。しかも、採択想定事業者数が55,000者。そこから予測すると富山県内では450者~500者程度の採択はありそうなのですが・・・
正直なところ、とても使いにくい補助金です。
と言うのも、『新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に挑戦する中小企業を応援する』というお題目なのですが、かなり思い切った転換をしないといけないのです。
ザックリ言うと、現業の片手間に的なことやわずかな販路拡大等では適合せず、それなりの投資を必要とするような文字通り思い切った挑戦を求められています。詳細は、事業再構築指針という文書で定義されていて、その指針に沿ったことでなければいけません。
さらに、挑戦実行後の売上に関する規定もあり、新たな事業が確実に計画値を達成できることを論理的に証明しなければいけません。
これが、なかなかのレベルで・・・。実際に既に数件のご相談をいただいておりますが、どうあがいても指針に合致することは難しく、断念していただいて、別の補助金をご紹介した次第です。どちらかというと、都会向けの補助金で、地方の事業者にはかなりハードルが高いと感じています。
例を上げますと、飲食店が店舗を閉鎖しオンライン受注のみでテイクアウトや宅配専業の店に業態転換するようなことが挙げられていますが、人口密度が低い地方ではエリア人口が少なく、成立しにくいビジネスモデルです。
例えば、和洋折衷で多くのメニュー数を持つ街の食堂が和食、洋食、中華、イタリアンなど別々の屋号で別々のサイトを持ってオンライン受注展開し、設備はもちろん、調理と配達も人員を共有するなどということが考えられますが、エリア人口も多く、ITリテラシーも高い都会だからこそ成立すると言えます、富山では、エリア人口も少なく、ネット注文できない高齢者等も除外すると、見込み客数が整いません。
さらに、このような多国籍の料理が作れる料理人の方は、一般的にご高齢であり、オンライン受注ができるかという問題もあります。簡単にするにはそれなりのシステムを整える必要があり、ご高齢の方が今からそこまで投資をして挑戦されるのかという問題もあります。
何より、新型コロナの影響で減少しているとはいえ、今の売上を捨ててまで業態転換できるかとなると、なかなか容易ではありません。リーフレットに書かれている補助金活用イメージは、実際にそれで成功している企業を例に挙げていますが、奇跡的に条件が整って実現した例であり、簡単にマネできる例は少ないと考えます。
基本的には、簡単に取り組めることはこの補助金では不適格となり、それ相応のリスク(投資)を伴った挑戦だけが対象になるということです。
とは言え、全否定しているわけではありません。簡単な補助金ではないということだけご理解いただけたらと思います。それでも挑戦したい方は、ご相談ください。現業では八方塞りで活路が見出せない企業様、これを機会に大きな変革を行いたい経営者様には価値ある補助金だと思います。今回の募集期間は、4月14日~4月30日までの短い公募期間ですが、今年度中にあと3回公募される予定なので、次回以降を目指されればよいと思います。
また、今回の応募状況によっては、次回以降の公募要件が変更になることもあり得ることです。まずは、注意深く経過を見守りましょう。
4月12日追記
申し訳ありませんでした。迂闊でした。
次回の公募を待つこともなく、早速、指針、指針の手引きが3月29日に、公募要領が4月2日に改定されていました。(しかも、ひっそりと)
全く気付いておりませんでした。若干、要件が緩和されていました。
詳細については、精査して改めて上げ直します。
精査の結果、依然ハードルの高い補助金であることには変わりなく、要件が細かく設定されているため、ここで公開することは逆に誤解を招く恐れがあり、詳細の説明は止めます。ご検討の方は、直接お問い合わせください。
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